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円形脱毛症・男性型脱毛症

円形脱毛症とは

円形脱毛症とは円形脱毛症は突然脱毛し始める疾患で、10円玉くらいから全身に症状が現れるものまで、症状は様々です。半年から1年程で自然に発毛してくるケースが多いですが、脱毛箇所・範囲が広がったり、繰り返し脱毛が起きたりするケースも見られます。
自己免疫疾患の一種で、身体をウイルスなどから保護する免疫に異常が生じ、リンパ球が成長期の毛包を攻撃することで発症します。この免疫異常の原因は現在のところ特定されていませんが、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を患っている方が発症しやすいとされています。

円形脱毛症の種類

  • 単発型・・・脱毛が1~2箇所に起こるタイプ
  • 多発型・・・脱毛が10箇所異常に起こるタイプ
  • 全頭型・・・髪の毛が全て脱毛するタイプ
  • 汎発型・・・髪の毛以外にも、まつ毛や眉毛、体毛も脱毛するタイプ
  • 蛇行型・・・側頭部から後頭部の生え際が帯状に脱毛するタイプ

円形脱毛症の主な原因

円形脱毛症の原因は様々な説が提唱されています。現在、最も有力なのが「髪の毛根組織への免疫異常」という自己免疫疾患の説です。
免疫異常の誘因としては、遺伝的要素が大きいと考えられており、他にも感染症や疲労などの肉体的・精神的ストレスも関係していると言われています。また、円形脱毛症患者の4割以上の方がアトピー素因を持っており、5割以上が本人や家族にアトピー素因があると分かっています。このデータから分かる通り、円形脱毛症とアトピー素因には深い関連性があると考えられます。

ストレスとの関係

円形脱毛症はストレスによるものだというイメージがありますが、必ずしもそうとは言えません。確かに感染症や疲労などのストレスが誘因となっていることも一部ありますが、全く原因がないことも多いです。

円形脱毛症の治療法

ステロイド外用療法

ステロイド外用療法は、比較的軽症の単発型や多発型の円形脱毛症に対して実施される治療法で、1日に1~2回頭皮にステロイド剤を直接塗ります。近年行われた研究によると、中症度の円形脱毛症にも有効だったという報告があります。なお、全頭型や汎発型では、症状が一時的に改善されたものの、一部の患者さまでは再発して元の状態に戻ったという報告があり、重症例では効果が見込めません。

紫外線療法(エキシマライト)

エキシマライトという専用の機器を用い、308nmという波長中心に、紫外線を患部に照射します。
紫外線の持つ「免疫の働きを調整する作用」によって、自己免疫の異常を原因とする円形脱毛症の症状の改善を図ります。
従来の紫外線療法と比べ、少ない回数で効果を実感しやすくなっています。
円形脱毛症の他、感染やアトピー性皮膚炎、白斑、掌蹠膿疱症などについても、保険適用での紫外線療法が可能です。

ステロイドの局所注射

ステロイド局所注射療法は、比較的軽症の単発型や多発型の円形脱毛症に対して実施される治療法で、ステロイド薬剤を真皮下層から皮下脂肪層に直接注射します。
実際、発毛効果が得られたという報告はないのですが、プラセボ(偽薬)よりも注射部位の発毛の評価指標が改善されたという報告や、円形脱毛症の単発型と多発型のいずれにも有効という報告もあります。したがって、ステロイド局所注射は円形脱毛症の改善効果が見込めると考えられており、軽度の症状に対しては勧められています。頻度は1ヶ月に1回のみで、通院時にすぐに投与でき、比較的安全性が高いものになっています。

局所免疫療法

スクアリック酸という物質を脱毛部に塗布し、脱毛部にのみに人工的にかぶれを起こすことで、発毛を促す治療です。
脱毛部にはT細胞という免疫細胞が集まっていますが、このT細胞が毛母細胞を破壊し、脱毛を引き起こすものと考えられています。
局所免疫療法では、スクアリック酸によってT細胞を皮膚の浅い部位に呼び寄せることで、毛母細胞の破壊を阻害し、発毛を促します。
なお、円形脱毛症に対する局所免疫療法が必要になった場合、高度医療機関へとご紹介することがございます。

生物学的製剤

15歳以上で頭部全体の50%以上に脱毛が認められ、6カ月程度発毛が認められない場合には、生物学的製剤による治療の適応となります。臨床試験では、2割程度毛髪が残っている患者に薬を投与すると、9カ月後には約3分の1の患者に8割程度の回復が認められました。
当院では、オルミエント、リットフーロという生物学的製剤を導入しております。
なお、円形脱毛症に対する生物学的製剤による治療が必要になった場合、高度医療機関へとご紹介することがございます。

円形脱毛症とAGA治療薬

AGA(男性型脱毛症)の治療で使用される発毛剤「ミノキシジル」は、円形脱毛症への改善効果は証明されていません。理由としては、円形脱毛症の主な原因は免疫異常とされていますが、AGAは男性ホルモンの影響によるもので、根本的な原因が違うためだと考えられます。
なお、データは少ないですが、ミノキシジルを用いて円形脱毛症が改善されたという国内の報告はあります。そのため、単発型および多発型への治療の併用としては検討しても良いと考えられています。

男性型脱毛症(AGA)とは

男性型脱毛症(AGA)とはAGA(エージーエー:Andro Genetic Alopecia)は、日本語では「男性型脱毛症」と呼び、成人男性によく起こる脱毛症です。頭頂部や生え際の髪の毛が薄くなっていきます。
主に男性ホルモンや遺伝が原因とされています。

進行する男性型脱毛症(AGA)

進行する男性型脱毛症(AGA)AGAは症状が進行していくため、そのままにしておくと脱毛し続け、薄くなった部分は自然治癒することはありません。
髪の毛は、「ヘアサイクル」と呼ばれる循環があり、「成長期→退行期→休止期→成長期」という流れを経て生え変わります。
AGAはこのヘアサイクルの成長期が短くなり、毛包の成長が妨げられ、髪の毛がまだ細く短い段階で抜けて薄毛になっていきます。
なお、薄くなったとしても産毛は残っており、毛包がある限りはしっかりケアを行えば髪の毛を元の状態まで戻すことが期待できます。

男性型脱毛症(AGA)の
原因

AGAの主な原因は、男性ホルモンの1つである「ジヒドロテストステロン」の増加が挙げられます。進行性のものなので、自然に治癒することはありません。
ジヒドロテストステロンは有害なものではなく、骨格や筋肉の成長促進、声変わりなど、思春期の二次成長などに不可欠です。
以下ではAGAが発症する仕組みについて解説します。

  1. テストステロンと5αリダクターゼ(酵素の一種)が結合してジヒドロテストステロンが産生される
  2. 男性ホルモン受容体とジヒドロテストステロンが結びつく
  3. 脱毛因子である「TGF-β」が発生・増加する
  4. TGF-βにより毛乳頭細胞の働きが抑制され、退行期(髪の成長が弱まった状態)に移行する

「5αリダクターゼの活性の強さ」「男性ホルモン受容体の感受性の高さ」の2つが、AGAの発症に大きく影響しています。5αリダクターゼの活性が強い方は、ジヒドロテストステロンが過剰に産生されやすいです。一方、男性ホルモン受容体の感受性が高い方は、ジヒドロテストステロンと多量に結びつき、脱毛因子のTGF-βが過剰に発生します。
どちらも遺伝的要素が関係しているため、AGAは遺伝性の疾患とされています。

男性型脱毛症のパターン

AGAの脱毛パターンは以下のように3つに大別されます。

  1. O型:頭頂部を中心にO字のように脱毛する
  2. U型:生え際から後退して、A字やU字のように脱毛する
  3. M型:生え際から後退して、M字のように脱毛する

このように、AGAでは主に生え際と頭頂部が脱毛します。
上記の3パターンの組み合わせや進行度合いにより、9パターンに分類する場合もあります。

男性型脱毛症(AGA)の
治療法

フィナステリド
(内服薬)

フィナステリドは、世界中で使用されている内服薬で、日本でも厚生労働省から認可が下りています。「II型5αリダクターゼ」の働きを妨げ、ジヒドロテストステロンの産生を抑制します。効果を得るためには、多くの場合、半年程度かかりますが、早い方だと3ヶ月程度で効果が現れることもあります。なかでも、頭頂部の脱毛に効果があるとされています。
副作用が起こる確率は数%ですが、勃起不全や性欲減退、肝機能障害が起こることがあります。
また、献血ができなくなることもあります。

デュタステリド
(内服薬)

フィナステリドの次に厚生労働省より認可が下りたAGA治療薬です。「I型およびII型の5αリダクターゼ」の働きを妨げ、ジヒドロテストステロンの産生を抑制します。以前は、AGAに関係する5αリダクターゼはII型のみと言われていましたが、最近になってI型も関係していることが判明してきました。したがって、フィナステリドではあまり効果が見られなかった場合でも、デュタステリドでは有効なケースもあります。
副作用が起こることは稀ですが、勃起不全や性欲減退、頭痛、発疹などが起こることがあります。こちらもフィナステリドと同様に胎児への影響が懸念されるため献血不可となります。

ミノキシジル(外用薬)

ローションタイプの治療薬で、血管を拡大して血流を促す作用があります。毛髪に十分に栄養が届くようになり、毛髪の成長が期待できます。効果を得るためには4ヶ月程度使用する必要があり、フィナステリドやデュタステリドと併用することも可能です。
効果が出たとしても使用を途中でストップしてしまうと、元の状態に戻ってしまうため、医師の指示に従って継続的に使用しましょう。
副作用には塗布部位の発赤やかゆみ、頭痛、動悸などが挙げられます。

男性型脱毛症(AGA)の
治療費用

   費用(税込)
ミノキシジル 配合外用薬5%(富士化学工業)(男性用)

6,800円

ミノキシジル 配合外用薬1%(富士化学工業)(女性用) 4,800円
フィナステリド1㎎(28錠) 5,500円
デュタステリド0.5㎎(30錠) 7,700円